GAFA 評シリーズ2 - Amazon の真価はこれから問われる
ただいま。公私ともに慌ただしい状態が続いていまして、ブログ書く時間が作れませんでした。やっとちょっと余裕でてきたので再開します。記事をシリーズ化しようとして単発で終わるところだった。危ない危ない。
さて、GAFA 評シリーズは第2弾。G "A" FA です。Amazon か Apple か、どっちなんでしょうね? まぁ、今回はAmazon でいきたいと思います。まずはいつもの3行。
- Amazon はブラック。スタートアップ特有の感覚がまだ抜けてない。CEO も代替わりして企業の真価が問われるのはこれから。
- Amazon の強みは "数打てば当たる" を是とする失敗許容文化とエンドユーザー志向
- Amazon の弱みはエンドユーザー以外を考えないこと
Amazon は 1994年創立の28年目。これは Google でいうところの 2018年、Apple での 2004年 iPod 全盛期で iPod mini を出した年、Microsoft での 2003年 Windows XP の SP1 を出して SP2 の前、Windows Server 2003 が出た年。こう比べると、Google もまだ若いんですな。Apple / Microsoft の同年次を見ればなんとなく想像できる通り、まだまだ創業者の創業時イケイケマインドがまだまだ強く、企業文化がスタートアップ寄り≒所謂ブラック企業に近く、大企業・プラットフォーマーとしての責任感が生まれ始めるか否か、というタイミングです。Amazon はまさにその過渡期にあるなぁ、というのが僕の個人的な感想。Amazon の倉庫従業者はいわずもがな、AWS の中の人達も働き方がシリコンバレースタートアップ的なそれ。まぁ、Amazon は MS と同じシアトルの会社なので、シリコンバレーじゃないんで、あくまで概念的な意味合いですが。現金ベースの給料は少ないが、株価上昇に夢がある、とか、色々な規制や世間の目よりも効率やエンドユーザーのメリットを優先してしまう姿勢とか、人事的な部分にしても、支配的プラットフォーマー企業としては責任感や自身の影響力の考慮が明らかに足りてない部分にしても、まさに過渡期。ぶっちゃけ EC の Amazon.com の代替はそれぞれの国で異なるものの、日本の楽天や中国のアリババ、カナダの Shopify 等があり、絶対的なものではないですし、AWS についても GCP や Azure があるわけで、10年後も支配的な地位に留まれるか否かは現在進行形で進んでいる企業文化の成熟にかかっているといても過言ではないかなーと思います。
Amazon / AWS がなぜ強いか、と言われると一つは数打ちゃ当たるを地で行くところ。これは当たるまで続けられるファイナンス的な体力があるというのと、企業内で失敗しても学びがあれば是とする文化があるからでしょう。同じくファイナンス体力はあって失敗し続けてるのは Google ですが、あちらはあまり失敗を是とできている感がない。ここが2本目の収益の柱を立てることに成功したか否かの大きな原因なような気がします。Fire Phone とか、Dash ボタンとか、どれだけの人が覚えてるだろうか。そして、もう一つの強みは徹底したエンドユーザー志向。従業員とか関係会社とかのことは下手するとお構いなし。エンドユーザーにとってメリットがあるということを徹底する。これはエンドユーザーとしては非常に魅力的になる。Amazon Prime、便利ですよね。Amazon Music は全然使ってないですけど、動画コンテンツ消費ガチ勢ではない僕には ストリーミングサービスは Prime Video で十分です。
ただ、この徹底したエンドユーザー志向は諸刃の剣でして、特に AWS ビジネスにはマイナス要素が強いように思います。というのも B2C ビジネスの EC ビジネスと異なり、B2B ないしは B2B2C ユーザーが主になる AWS というビジネスは、エンドユーザーの絶対数がさほど多くなく、むしろ、エンドユーザー以外の数の方が多くなるからです。エンドユーザーの数が文字通り桁違いの B2C ビジネスにおいては数の暴力で道理を無視した無理を通すことは不可能ではないです。一方の B2B/B2B2C ビジネスでは、エンドユーザーというのはNetflix のような B2C ビジネスを行う企業であって、その絶対数が少ないんです。一方で、AWS ビジネスを成立させるために必要な他社、SIer や 3rd party ISV、OSS プロジェクト、いわゆるパートナーと言われる企業は多く、かつ B2C ビジネスのように力関係が一方的ではない。そのため、EC ビジネスのようにエンドユーザー志向徹底しようとすると、AWS ビジネスでは他社との軋轢が生まれ、かつエンドユーザーからの賛同の声というのも数が多くは産まれないという状態になります。その典型例を2つ挙げると、1つが Elastic との喧嘩。OSS フリーライドでよく衝突してます。喧嘩相手が OSS だけかというとそうでもなくて、仕様策定や共同研究開発を行う類の業界団体・コンソーシアム系への参加も渋いんですよね。もう一つが AWS Outposts。HW も Amazon 製で、管理も Amazon がリモートから実施。これにメリットを感じるユーザーは、Dedicated Host で十分なのでは...。ハイブリッドクラウドやるにしては、HW ベンダーも SIer も敵に回して、自ら敵を作りに行くスタイルにしか見えません。今はまだ先行者利益で太いビジネスになってますが、Microsoft の Azure という強い競合が育ってきてますし、Google も GCP を諦める気はなさそうです。競合との差がどんどん詰まってきているので、拮抗しだすと自ら作った敵が一気に牙をむいて落ち込む可能性もありそうだなぁ、と思う次第。
いずれにせよ、Amazon は成熟した企業文化に脱皮できるかどうかでどうなるかが決まるだろうと思います。