TAKST の雑念所

週2は何かを書くということを目的に、思いついたことを何か書きます。

専制的な体制には多くの問題があるが民主的な体制も問題がないわけではないんじゃないか問題

  • 現状のロシアを引き合いに出すまでもなく、過ぎた専制体制は独裁になり、望ましくない結果をもたらした事例は枚挙にいとまがない。
  • 他方で過ぎた民主体制も過平等・悪平等を産んだりリスクを取ることを避ける結果になり停滞をもたらす事例もこれまた多数ある
  • 結局バランスだよねという元も子もない結論になるが、これは極めて難しい問題なんじゃなかろうか

ということで久しぶりに思い付きネタで雑に書いていこうと思う。言いたいことは箇条書きで言い切ったのでその補足をダラダラと書いていく。

現状のプーチンだかプトラーだかよく分からない戦時情報統制状態で叩かれているロシアを例にするまでもなく、専制体制を維持し続けようとすると独裁体制に至り、悲劇的な結果をもたらした例は大小たくさん思い浮かびますよね、と。ただ、これまた難しいのがすべてのことが終わった後で事後に評価するとネガティブな評価になるわけですが、各事例の独裁体制トップの方々も、それが実務力なのか政治力なのかはさておき、なんらかの能力が秀でていて、結果を残し、周囲の人間に評価されないとトップに立った上で専制体制を作るには至らないはずで、何か良い結果をもたらしていた時期はあったはずなんですよね。(世襲制でダメな世代に引き継がせてしまった場合は前世代までの良かった状態を評価する、ということで。) 別に過去・現在のやらかした、ないしはやらかしている独裁者を擁護するつもりは毛頭ないんですが、専制体制は否定されるべきもの、と単純評価してしまうのは思考が浅いんじゃないかなぁ、という問題提起です。

単純理論でいくと専制体制は打破すべきもので民主体制こそ至高、共産体制もダメだったしね、という話になるんですが、民主体制もダメなところあるよねぇ、ということが言いたい。今の日本社会って色々と問題はありますが、理想的な理屈に則った社会だと思うのです。完璧とは言いませんし、むしろ理想的な理屈で押し通そうとした結果、色々な理屈がぶつかって問題が噴出して袋小路に入っている、というのがより具体的な説明でしょうか。具体的に言うと、「老人や病人は手厚くケアすべき」、「既得権益は許さず社会に還元すべき」、「政治家や経営者は世襲ではなく民主的に選出すべき」、「高所得者から徴税して低所得者に還元すべき」、「企業淘汰は望ましくないので救済措置を設けるべき」等々。どれも理想論としては正しいです。それらが理想に沿って実施されているが故に、日本社会の安定性は高く、治安も良い。ただし、その分、閉塞感も強い状況なってしまっているなぁ、と。

社会全体ではなく企業活動に視点を移しても同じことが言えるんじゃないかなーという気がしておりまして、別に財閥主体で世襲制統治が正しいと思っているわけでもないのですが、各企業で社内の生え抜きを役員や社長に格上げしていく体制は、一見、自社のビジネスや歴史、人間関係を把握しているという正しく理想的なやり口に見えて、任期が3-5年、長くても7年ほどで、新しい挑戦や開拓も許容されないし、そもそも正しいチャレンジや失敗の仕方を知らないサラリーマン社長を増産してるんじゃなかな、と。帝王学なんて言葉は最早死語になっているように思いますが、やはり経営は経営というスキル、社長は社長というスキルが必要で、社内の特例領域でどれだけ傑出した業績を出そうとも、企業のトップとして胆力と実行力を持った仕事ができるかどうかは別だと思うのですよね。その証拠というわけでもないですが、自動車業界の中でのトヨタソフトバンクグループ、楽天グループ、ファーストリテイリング日本電産あたり、創業者社長か創業者一族で経営者としての教育を受けた人がトップの企業が元気なように思ってしまうのです。

もう一つ、蛇足的に付け加えるならば、最近はようやく日本企業らしい日本企業も外資系企業でのトップ経験のある人間や、スタートアップ系からの中途採用も進まりつつあると思いますが、これもちょっと一筋縄ではいかないと思ってます。というのも自分自身が外資系にいるからわかるのですが、外資系日本法人って規模が小さいんですよ。本社側の上まで上がったような、例えば Microsoft の沼本さんみたいな人は別ですが、各社の日本法人のカントリーマネージャーだとかって、率いる人の数は多くて千の桁なので、数万-数十万の人を率いるという経験はないのです。 IT 領域なんかであれば技術的な知見や先進的な領域での経験はあるかもしれませんが。ということで、外資企業の人材を日本企業に入れたとしても、そこから非常に大きな組織を動かして成果を出すというスキルを習得する必要があるので、全員が簡単に結果を出せるとは限らないわけです。悪くはない方向性ですが、短期的・短絡的に結果がでるもんでもないな。と。

ということで結論は、専制体制・独裁状態も望ましくないけど、民主体制も必ずしも最高じゃないよね、ということ。うまいことそのバランスを取ることが大事なんだけど、それがまた一番難しいところだよなぁ、という毒にも薬にもならない結論で終えようと思います。幹部教育という言葉が正しいかどうか分からんですが、経営者あるいはビジネス責任者としての経験とスキルを積むというキャリアパスを作って、そこで胆力と実行力を持った人を増やしていける状態にならないと、今の低迷する日本企業のサラリーマン社長ワールドは袋小路から抜け出すことはないんじゃないかな。