TAKST の雑念所

週2は何かを書くということを目的に、思いついたことを何か書きます。

Next GAFA は日本から生まれないというが、そもそも GAFA どころか強いソフトウェア企業はアメリカ以外からほとんど生まれていない

言いたいことを3行で。

  • イノベーションという言葉を言い換えた DX という単語がよく扱われ、DX と GAFA がよく関係させて語られるが、そもそも GAFA は最初からソフトウェアがビジネスの根幹なので (Apple だけ微妙だが、今の core value は SW)、デジタルにトランスフォーメーションする必要がないことを理解してない人多すぎ。(Microsoft も Tesla も同じ。)
  • デジタル化とか Big Tech とかの話も似たり寄ったりだが、更におかしいのが日本から Next GAFA が生まれないだの、日本企業はやっぱり遅れてるだのという議論。語るなら少しは調べて考えるべき。その手の Tech 企業の大半はソフトウェア企業で、アメリカ企業。日本企業がダメなんじゃなくて、アメリカ一強なだけ。
  • 閉鎖市場の中国企業を除いて、アメリカ以外の強い Tech 企業・ソフトウェア企業ってどこ?せいぜい、ドイツの SAP とオーストラリアの Atlassian くらい? だからアメリカが強いだけだってばよ。

よし、まとめたぞ。後は書きたいように書く時間だ。

イノベーションって言葉、聞かなくなりましたね。イノベーションなんて古いんですよ。今や時代は DX です。凸版です。じゃない、デジタルトランスフォーメーションの時代です。(それはさておき、凸版のあの CM は何か効果があるんだろうか...。) DX は DX でまた今度書くかなーと思いつつ。DX と相性の良い単語と問われて何を思い浮かべるでしょうか?? 1位が AI、2位が GAFA あたりかなーというのが個人的な感触なのですが。本当に表層的なマーケ屋さん用語に良いように使われてるなーと思う次第ではありまして、中でも GAFA と絡めて DX かたる人や記事はそっと閉じて良いと思うのです。というのも、DX ってデジタルトランスフォーメーションですよ? 既存のビジネスをソフトウェア駆動型に切り替えるという用語ですよ?極端な例でいえば、自動車製造業の企業が、自動車販売ではなくて、車は無料に近いコストで出しておいて、その上に乗せたセンサーで収集したデータを売るとか、車の中で使われるエンターテイメントのマーケットプレースで稼ぐようになるとか、その手の話になるわけです。手工業から機械工業に切り替わったのが工業革命、機械工業からソフトウェア駆動型に切り替えるのが次なる変革、というわけです。その例に GAFA を出すのがちゃんちゃらおかしい。だって、Google (Alpabet) も Facebook (Meat) も AppleAmazon も全部、最初からソフトウェア企業です。前者2つは言わずもがな。Apple も最初期こそ HW 主体でしたけど、NeXT 買収して復活したあたりからコアはソフトウェアとサービスがビジネス価値の核でしょう。OS とマーケットプレースです。Amazon だって最初は本屋かもしれませんし、物流能力に強みがあるかもしれませんが、端からインターネットありきの企業で、ソフトウェア前提のビジネスです。デジタルネイティブなんです。GAFA の仲間扱いされる Microsoft も Tetsla も同じ。なんで、DX と GAFA を絡めて話すのはおかしい。(さらに言えば、この各社が DX を語ったり、売ろうとするのも意味が分からん。AWS/Azure/GCP で DX !という売り文句への批判です。)

ただの批判だけ書いても仕方がないので、もう少し、身がある方向に筆を寄せると、日本企業はダメ系の話に持っていきたいと思います。自己批判の精神は健全に動けば成長につながるので、必ずしも否定はしないのですが、それにしても、日本企業は GAFA になれないだの、Next GAFA は日本には無理だの、という日本企業否定記事には一言申したい。よく考えろ、全部アメリカ企業だぞ、と。GAFA ほどの大きさでなくても、大抵の強い Tech 企業はアメリカ企業です。SFDC、AdobeOracle、Splunk、SolarWinds、ServiceNow、Zoom、Slack、ほら、全部アメリカでしょ?強いて上げてもドイツの SAP とオーストラリアの Atlassian (Jira と Confluence の会社)くらい。これらの各ベンダーが提供しているサービスやソフトウェア、ツールの使い方すら日本企業は下手なところが多い、という点は否定しきれないですが、GAFAがーふぁ言って短絡的な自己否定するだけじゃなくて、もっと踏み込んで考えないと、得られる教訓はないと思うわけです。IntelAMDアメリカ、あ、Arm は UK か。無駄に舶来もの信仰主義が顔をだすのが日本人の性のようにも思いますが、しっかり解像度を上げて、何を反省し、何を学ぶべきかを考えましょう。DX の根幹はソフトウェア、ソフトウェアの生まれ故郷と聖地はアメリカなんです。US には歴史的・経緯的に多数の技術者や経験者が居ますし、その技術力の積み上げと人やコミュニティの層の厚さは他国を圧倒しています。さらに言えば、市場閉鎖してコピー企業と政府圧力でウハウハしている中国と違い、アメリカ市場は門戸が開かれているので、日本人を含めて、技術力と熱意・素養を持ったトップクラスの人材は自国企業に見切りをつけてアメリカに移ります。物理的に渡米までせずとも、各企業の自国法人に入るくらいはするでしょう。結果的に、アメリカのソフトウェア企業はより強くなり、他国のソフトウェア技術基盤は継続して相対的に弱まるわけです。

なので、GAFA を仰ぎ見て自己批判したり崇めたりしても仕方がないです。どうすれば日本企業や市場のソフトウェア技術が向上するか?で言えば、短期間的には難しいのが正直なところですが、USの企業に迎合するしかないでしょう。Amazon Japan (含む AWS GK) は自社とユーザーのことしか考えないので論外ですが、他の Google やら Microsoft あたりの日本法人の人たちに好き放題やってもらいつつ、学生たちに英語で最新テクノロジーに触れる機会を増やして中長期的な種を巻いて、更にはスタートアップでもなんでも良いのですが、Top of Top の人材が各社の US 本社や日本法人に移ってしまわないような待遇を準備できるようにすることが必要なんではないでしょうか。